「養生(ようじょう)作業」とは?

今回は、建設現場やリフォーム現場で行われる「養生作業」についてご紹介します。
工事が始まる前に行われる作業ですが、建物の品質や安全を守るうえで欠かせない重要な工程です。
【養生作業の目的は?】
養生作業とは、工事によって傷や汚れが付かないように、既存の建物や設備を保護する作業のことを指します。主な目的は以下の3点です。

「資産保護」
施主様の大切な床・壁・建具・設備などを、傷や汚れ、衝撃から守ります。
「品質確保」
施工中のホコリやゴミが仕上げ面に付着するのを防ぎ、より高い品質を確保します。
「安全確保」
滑り止めや角の保護により、作業員の安全を保ちます。
特にマンションやビルなどの集合住宅では、共用廊下やエレベーターの養生も非常に重要です。他の居住者様に配慮し、トラブルを未然に防ぐ役割も担っています。
【具体的な作業内容】
「床養生」
使用する場所や想定される荷重に応じて、養生材の種類を使い分けます。
軽作業エリア:ブルーシート、養生マット(厚さ2~3mm)
通常の工事エリア:養生ボード(厚さ3~5mm)、プラダン(プラスチック段ボール)
重量物が通るエリア:ハードボード(厚さ5mm以上)、合板(厚さ12mm以上)
「立体的な個所の養生」
階段:踏み面用保護シート、段鼻保護材、滑り止めテープなどを組み合わせて安全対策を行います。
「壁・柱・建具の養生」
軽度な保護:養生紙+マスキングテープ
中程度の保護:ビニールシート+養生テープ
重度な保護:プラダン+木枠
角の保護:コーナーガードを使用し、衝突や擦れによる損傷を防ぎます。
「開口部(ドア・窓など)の養生」
防塵対応:ジッパー付きビニールシート+養生テープ(作業員の出入りと粉塵遮断を両立)
衝撃対応:木枠+合板
【作業における重要なポイント】
・養生計画書の作成
事前に図面上で養生範囲を明示し、必要な資材をリストアップします。作業内容を全員で共有することで、無駄や漏れを防げます。
・写真記録
養生前・養生後の写真を残しておくことで、既存の傷の確認やトラブル防止にも役立ちます。
・定期点検と補修
養生材のズレや破損がないか、日々確認し、必要に応じて補修を行います。
・作業員への教育
養生の重要性や、正しい取り扱い方法について、現場で周知・指導を行います。
・撤去計画
撤去の際には壁紙や床を傷めないよう丁寧に行い、再利用可能な資材と廃棄する資材を分けて処理します。
【終わりに】
養生作業は、建物を守り、工事の品質を支え、安全を確保するための“縁の下の力持ち”です。
目に見える仕上がりだけでなく、目に見えないところにも丁寧さが求められる仕事だからこそ、現場での心配りがとても大切になります。
